どうしようあの子

今日は陽太くんと会ってちょっとお茶をした。
どうでもいいと言えばどうでもいいんだけど、その誘い口調の妙なことには、毎回「うーん」と唸ってしまう(もしくは笑ってしまう)。
陽太くんに慣れてる私だからまだいいけど…慣れてない普通の女の子に送ったとしたらこれまずいよ。まずいっていうか、メールの文章本当に妙だもん。うまく言えないんだけど、単純に変…。いや変なのは別に構わないけど、だからといって効果的でもなく。現に好きな子からは最近応答の無い様子。
今まで、こういうことを始め、陽太くんに男子としての魅力が全く認められないことを、私は特に問題と思っていなかった。陽太くんの、言ってしまえば「性別」すら、私には関係ないからね。
だけどここにきて、「この子このままで、本当にいいのかな…」としみじみ思ってしまった。なぜなら、このままだと陽太くんの片想いが、一途に過ぎることもかなり手伝って、永遠に終わらないんじゃないかと思われるからだ。まあずっとうすうす思ってはいたけどな…。
陽太くんの片思いの相手は高3の時のクラスメイトなのだけど、正直、脈はといえば、全く無い。どうしてそんなことが言えるかというとその女の子と私は友達なので、例えお互いに多くを語らなくとも、分かるものは分かるのだ。
まして、陽太くん(笑)
とか、そういう扱いでもあるし。
そうはいっても、陽太くんに妙に信用されているらしい私が、いくら本当にそう思っているからといって「男としての魅力が無いから、どうにかしよう」などとはっきり言っていいものかどうか。それはそれなりに彼独特の魅力なのかもしれないし、大体、世間からどうもズレているところがある上に、こんな気の弱く優しい人間を、世間一般の価値に矯正することがそんなに良いことなのかどうか。なんだか考えてしまう。
私と陽太くんは高校1年からの知り合いで、クラスも一緒になったし、通学バスがずっと同じだった。もうすぐ知り合って丸6年になるけど、私は最初の2年間くらい「何で話し掛けてくんのよ」とか思っていたほど(ひどい)、「陽太くんという生き物」が苦手だったのだけど、それでもあの独特さに、卒業の頃、やっと慣れたのであった。時間かかったなあ。
陽太くんが好きな子を教えてくれたのは大学に入ってからで、一年前から、その子と更にもうひとり女子を交えて4人で会ったりしている。それも最初は、陽太くんの恋の決着のためだった、はずなんだけど、ふと気付いたらひとつも、何にも変わってないじゃないかということに気付いた。
恋自体に進展が無いのはともかく(皆驚くべきのんびり屋さんよ!)、肝心の陽太くん自身が何も成長してなくね?っていう。そんなの、片想われる相手だって困ります。
片想い、それは大なる挑戦ではないのか。どうしても魅力に感じてしまう異性を、どうやったらこちらに向かせることが出来るのかという、これが女子なら、いつの間にやら劇的変身!成長!の絶好の機会であるはずなのに。
男子はちょっと違うのかな…どっちかっていうと彼女が出来てから変わっていく人をよく見るかもしれないな。

それにしたって陽太くんの冴えなさぶりときたら、自覚が無いせいか、ひどいものですよく考えたら。お前は恋してるんじゃないのか!
しかし私も、陽太くんに何かしら言えばよかったかもしれなかったのに、今まで本当に何も言ってこなかったのだ。何から言えばいいのか分からなかったし、そもそも私に何かが言えるのか?という疑問もあったし、自分で気付けよ、とかも思っていた。要するに面倒くさかったのだね。そんな感じだね。

うーん、ああ、「陽太くんそのまんまじゃ絶対振り向いてもらえないよ」とか普通に言えばいいのかな。本当は「そのままだと一生対象外だよ」って言いたいけど。あとやっぱり告白してフラれてしまうのが一番分かりやすいけど、そのタイミングすら掴めない今。
しかし陽太くんのどこをどうすれば男子として魅力的になるのかさっぱり見当がつかない…。
でも、どこかの誰かにとっては既に十分魅力的かもしれないよね!そうだよね!
…それ多分無いけど…仮にあったとしてもだからどうだろう…。
続く。(たぶん)