下の妹が大泣きしながら彼氏と電話していた。
最近雲ゆきの怪しかったふたりは、今日もメールで何か言い合いをしていて、私も「何て送ったらいい?」などと訊かれるので適当に助言をしながらしばらく傍にいたのだけども、電話が始まり、
さらに妹の鳴咽が始まってしまったので自分の部屋に退散し安吾のエッセイ*1を読んでとりあえず待っていた。

もし私であれば、泣いているところ、まして恋人とのやりとりのなかで、を(身内だろうが友人だろうが)ひとに見られるのはとても避けたい事態であろうと思ったので、妹のためにはいっそ私は外に出たほうがいいかしら、とそわそわしていたのだけども、
わりと短い電話が終わるなり、妹はそろそろと私の部屋の扉を開けて泣き腫らした顔を見せた。
「あ、べつに、いいのかな」と、ひき続いて話を聞いてやるなかでも、妹はぼろぼろぼろぼろ泣いていて、私に出来ることはあんまりなくて、

くっそうあの野郎3回半ほど殺してやるかな、と妹の彼氏を心の中で撲殺してみるばかりであった。
かわいい妹は、「ああ明日はアイプチしなきゃ。面倒だなあ」と眠る準備をしながら、「だけど私は、こんなに悲しいことがあっても、きっと明日にはいつものようにゴハンをいっぱい食べて、いつものようにう○こを一日3回するんだ…」*2と、自らの健康さに呆れ、それを本気で嘆いていた。

上の妹のように、恋の初めに食欲が無くなり、喧嘩をすると明らかに元気を失くしているのが分かるような、そういう可憐な(?)性質を自分が少しも持っていないことに、彼女は人生19年間でほとほと呆れて続けてきたらしい。初めて聞いた。
なるほど、「悲しみに溺れる」とかをやってみたくても、今日も元気にう○こが出る(しかも3回)、そうすると、きっと馬鹿らしくなってしまうのだろうね。なんて健全、と言ったら妹は「それが嫌…」。
ああ、早く、妹に、とてもふさわしい相手が現れないかな、と祈りながら私も寝る。

*1:堕落論』。いまさらだけど、すっごく面白い。

*2:妹は快便女王