秋冬こそペディキュア

拝啓 乙女のみなさま
頬にあたる風もすっかり涼しくなり、街ゆく女子の足元も、いつの間にか秋仕様に切り替わっています。サンダルばきの足指に気を使う季節も、もう終わりですね。
そんなセンシティブなこの時分、どんな爪でお過ごしでしょうか。
この夏サンダルを履く機会の多かったあなたは、足の爪をきれいなペディキュアで彩ったことでしょう。多くのひとの目に触れるとあらば、気合が入るのも当然です。手入れの行き届いたその足に、見惚れた人間もひとりやふたりではないでしょう。いい夏でした。
しかし秋になり冬になり、足指をさらす機会はどんどん減っていきます。「ペディキュア塗っても意味ないし…」あなたはそう思ってしまうかもしれません。サンダル履くわけじゃないからそんなに誰も見ないし、それなら意味も無いし、だからテンションも上がらないし、夏の終わりを引きずったままのはげかけたネイルで、うっかりすればそのまま年も越しそうです。それもまたどうしようもないくらい女子的であると言えますが、忘れてはいけません、ネイルの真髄は「自分が楽しい」ということにまず、あったはずです。
確かにペディキュアの本番は夏であると言えますが、しかし他人の目に触れない秋冬にこそ塗るペディキュアの方が、なんだか艶めくというものです。日焼けも褪せた生っ白い足指に施したネイルは、自分と、自分に身近な人間以外の視線から守られて、夏とは違った趣きを見せることでしょう。
季節を問わず濃い色のネイルがお似合いの足指ですが、寒い季節にこそ深く暖かい色を、ていねいに塗りあげたいものです。深紅、ボルドー、夜空みたいなラメ入り紺紫、濃厚なチョコレート色、緑と紫が織りなす玉虫色。自分ぽくないかな、という色でも、例えばお風呂で、寝る前のベッドの上で、宝石みたいな自分の爪を目にするうち、きっとだんだんその気になってきます。さあ何色のネイルを手に取りましょうか。
バスルームのひやっとしたタイルの上で、凛とするあなたの足指を想像しながら。
 かしこ


上のひとは一体何者なんでしょう。いや一応嶽本野ばらの『それいぬ』を意識していたのですが、難しかったです。あれは私が模倣してよいものではありませんでした。反省。
別になにか塗ればいいってものでもなく、きちんと手入れされたすっぴん爪も、それはそれで最高です。でも実際冷え性の人なんかは赤とかを塗ると、素足になった時の寒々しさが軽減されて視覚的にいいみたいですよ。爪は短めが可愛いと思う。まあでも好きなようにやればそれでいいのです。ただストッキングのつま先から透けるネイルは、濃い色よりヌードカラーがいいかもしれない。
今回スピッツの「仲良し」という曲の、
「サンダル履きの足指に見とれた」
という一節にもインスピレーションを受けています。あしゆび、という響きが好き。