昨日狭山さんとわざわざ部室を出て、ふたりで喫茶店に行って、いろいろしゃべった。鴻野くんへの気持ちなんかも話してしまった。すっきりした。結構びっくりしていた。
は-、それにしても狭山さんはこんなに可愛いのに、こんなに思慮深いところもあるのに、どうして最近まで「苦手だなあ」とばかり思っていたんだろう、と思ってまたヘコんだ。だめすぎる私って。全然見えてねぇの…。もう死んじゃう。
ところで鴻野くんと私の異様な距離の近さは、やはり周囲のひとびとに違和感をふりまいていたもよう。私たちのいないときには、

「あのふたりってどうなの?」「付き合ってるんですか?」
といった話題になることがしばしばあるのだ、ということを、初めて聞いた。
他人事だと思えば、そりゃ-そうだよな…、と思えるけども、みんなの態度はいつでも普通だったし、それほど注目されてるなんて、思いもよらなかった。
私たちが部内の男女たちのうわさ話をするのと同じように、私たちもまた、そうされているのね。当たり前か。
「ローラちゃんから話してくれてよかった。訊きづらくて…」
と言われる。誰もツッコんでこなかったのは、たんにそういうことか。

「でもべつに鴻野くんは私のこと何だとも思ってないから」と言うと、「そうかな、結構好きなんだと思うよ?」
「分かってるよそれは。ただどうしてもあの男は、私の顔に納得がいかないのよ。だから私に絶対惚れないの」「納得って…」「だって知ってるでしょあの子のストライクゾーンの狭さ!恋のしなさ具合!ていうかそもそも2次コンだろうあれは」「それはあるんだよね…」
…そういう悲しい話をした。

現在私のことを好いてくれている男子のひとりやふたり、いないわけじゃないっていうのに、
どうして私は、よりにもよって、自分のことを可愛いと思ってくれないような男子のことを好きにならねばいかんのか。何の因果なのか。何の因果なのか--!!(2回言う)。
自業自得かもしれないけど。