今週も鴻野くんと一緒の授業を受ける。
授業は全く面白くないので、正直、ふたりとも「もう出なくていいんじゃないか…」と思っているのだけど、私はたとえ単位が取れなかろうとも*1、この時間を確保したい。鴻野くんはどうだか分からないけど、私はとても楽しい。

それにしても今日、その授業中に、鴻野くんが私の二の腕を突然ふにふにしてきて、「なにしてんの」と軽くあしらった直後、自分の顔がみるみる熱くなるのが分かった。
隣に座っててるから、バレずにすんでよかった、と思った。
ていうかなにしてんのこの子、と思った。

この「二の腕にさわる」とか、「ほっぺにさわる」という行為は、最近、部内でわりと普通に行われていて、とくに酔っ払ったときなんかみんな触る触る。男子が男子を触っていることもよくあるし、狭山さんの二の腕は気持ちいいし、沢尻くんのほっぺはつやつやのぷりぷりだ。私は鴻野くんのお腹(でてる)をよく触るし、鴻野くんに触られることも何度もあった。
だけどもちろん、それはその他大勢ありきの行為で、親愛のしるしであると同時に、ほとんどパフォーマンスなのだ。

だからこんなふうに、観客(部員)のいないときに、なんの脈絡もなく、しかも二の腕を触ったりしたら、普段と意味が違ってしまうのだ。
鴻野くんは、絶対に「うっかり」やったに違いないのだ。実際、鴻野くん自身からすぐに「しまった」と思っているような気配が感じられて、私はますます恥ずかしかった。
私は顔の熱さが早く引くように願いながら、そわそわ机の上の本をいじっていた。
まいった。一瞬いろいろ吹っ飛んだ。

*1:こらこら