化粧品のキャッチコピーは気にすべきだ

SK-Ⅱ サインズトリートメント パウダーファンデーションの広告より

『その肌は、何でできているのだろう』

こんな人間業を越えたところに初めて生まれる感嘆のようなコピーに相応しい肌を、CMで披露している小雪はすごい。面白いコピーですね。ほんとに何でできてんだと思う。
そんでその一行に続いて、

『つやと透明感を手にして、肌はこれ以上ない質感に向上した。
一瞬で視線をうばい、沈黙させる。見せつける優越感をほしいままにする。
SK-Ⅱの名をうける以上、驚きを呼ばないものはありえない。』
迷わず、SK-Ⅱ

というわけなんですが、何だかものすごい感じです。何言ってんだかよく分からん。
このファンデーションの目指すところが、最高級の肌であることは、まあ分かる(大概の化粧品はそうか)。そしてこの商品はそれが可能なのだと言いたいことも、分かる。確かに桃井さんの肌も小雪の肌もすばらしいと思うよ。
でもSK-Ⅱともあろうオトナブランドがこんな変な日本語で広告しないでいただきたい!
『一瞬で視線をうばい、』とかに「〜の」が無い、とかは言わない。広告だし、まあ女の肌が奪いたい視線はほぼ男性のそれですからそのへんは野暮ということでね。

でも「"全ての"視線をうばい、」とかの方がいいと思うけど。だって本当はそういうことが言いたいんじゃないの?"一瞬で"奪うより"全て"奪える方が断然興味深いぜ?
そんなことより一行目の、
『つやと透明感を手にして、肌はこれ以上ない質感に向上した。』
にはすかさず違和感。「肌は…質感に向上した」って変でないか。直してみる。
「肌はつやと透明感を手にし、その質感はこれ以上ないまでに向上した。」
ならいいかな?もしくは
「つやと透明感を手にして、肌はこれ以上ない質感にまで到達した」
とか。

そうだよ向上したのは、"肌"じゃなくて"肌の質感"だろう。雰囲気だけで書くなバカ!(なんて素人に思われていいのかよ!)
『見せつける優越感をほしいままにする』なんて更によく分かんないなぁ手に負えないなぁ。だいたい「優越感」て「ほしいまま」にするもんか?
言いたいことは分かるけど、この破綻ぶり。
私たちがほしいままにしたいのは、見せつけたくなるような肌の質感であって、他人より美しい肌を持つことの優越感ではない。そんなこと、これを書いた人間も分かってるはずだ。でも書いたらこうなってしまったんだろう。失格だお前は。

広告として上がってくるまでにこの文章はチェックを受けなかったんだろうか。
よりコンパクトに、そしてインパクトを、というのが広告なのだとしても、ニュアンスや勢いだけで言葉を選んで並べても、言いたいことからズレちゃってたら意味無いでしょう、ということは言いたい。
伝わる文章は、まず言葉の規則を守ってこそだと思う。