鴻野くんと久しぶりに落ち着いてふたりで話した。ちょっとだけだけど。
最近周りのひとたちが、私たちをどうにかしようとする動きを激しく見せてくるので部室などではどうも気まずく、いっそふたりきりになる方が、多少緊張するとは言っても気楽な部分もある。静かにお互いの話ができるから。
鴻野くんは色恋に関して、とても恥ずかしがりで、とても面倒くさがりで、さらには理想主義的である、ということが最近だんだんとはっきりと納得出来てきて、全く面倒くさい、ばからしい性質だな、と思いながらも、

同時に、「私もそうじゃん…」とも思う。どうしようもねえふたりだな。私だっておそらく相当(でもマシになったと思う)なのに、鴻野くんはその度合いがだいーぶ強い(さらにあんまり直す気がない)ので、周りの期待するようなタイミングで恋愛の始まるってことは、なかなかありえなくて当然なのだ。
そういうことに気がつくと、ずいぶん気楽になった。なんにしろ時間をかけるしかないのだ。もとよりそのつもりだ。だから周りには、ほんとに放っといてくれないかと真剣にお願いしようか検討中。