井上雄彦『リアル』⑥

リアル (6)

リアル (6)

バスケが楽しくてしょうがなくて、お父さんを大好きなチビ高橋が、ものすごーくかわいい。
だんだんバスケが上達する自分とか、それを見守る父親がいてくれることとか、ドリブルしながらの帰り道に見たオレンジ色の夕陽とか、小学生のころの高橋には、そういうもの全部が、確かにきらきらしていたはずなのだ。
だけど両親の離婚で、寂しい思いをした高橋は、だんだんとこころが擦れてしまった。バスケも中学生のときにはもう、楽しくなかった。他人をランク付けするようになった。
そんななか、交通事故で歩くことが出来なくなってしまった高橋と、数年ぶりに会う父親とは、当然、思いきりすれ違う。だけど、ほんとうにすこしずつ、高橋のこころは溶解して、この巻の最後にはやっと自分の素直な気持ちを、お父さんの前で取り出すことができる。
ひねくれまくった高橋の気持ちは、どうやってほどかれるんだろう、ずっと心配だったので、とりあえず安心。野宮も清春も元気!