ゆうべは沢尻くん家で鍋をした。ぶたすきときむち鍋。
狭山さんと沢尻くんがキッチンで下準備をする間、桐生先輩と佐々木くんと私と鴻野くんの4人は酒も入っていないのに体を揺らしながら、「人間て いいな」を合唱していた。歌い切るまでに沢尻くんたちからのツッコミがほしかったのに完全にスルーされ、仕方ないので「アンパンマンのマーチ」、「お料理行進曲」と続いてしまう。
私と鴻野くん以外の、カップル二組がさんざんいちゃいちゃしていて、私はともかく、鴻野くんが照れてしまって仕方ないらしく、「(この情況は)ひどい」とずっと言っていた。

後片付けは鴻野くんと私で。食器を洗っているとシンクの汚れがものすごく気になり、結局排水溝の奥まで掃除。
急に掃除用のハブラシを要求した私に沢尻くんは「え、いいんですかすみません」「いいの!やりたいの!」とわがままを言う私であった(わがまま?)。
私「あー汚い。なぜこれで平気なんだ!」
鴻野くん「僕ん家はもっと汚いですよ」
私「そうだろうね。掃除しなよ」
鴻「めんどくさいですよ」私はお酒も入っていたので「じゃあ掃除しに行ってあげるよ」と言ってみた。
鴻「じゃあお願いします」
私「うん」
鴻「え?ほんとにですか?」

私「うん」
鴻「え、い、いつですか?」
私「年末…?うーん…」
鴻「いいんですか?」
話しているうちに照れてきて、
私「鴻野くんがいると邪魔だから、どっか行っててね」
鴻「べつに邪魔しないですよ」
私「そういう問題じゃないの。掃除は大事なひとり作業なのよ!」
と口調が一気に掃除哲学(?)に移行してしまい、もはや何だか分からなくなった。
確かに鴻野くん家を掃除したい気持ちは本当だけども、べつに鴻野くん家でなくても、私は掃除をしたいのだった(げんに沢尻くん家の排水溝を私は磨いた)。

いや違う違う、いいんだそれで。「掃除してあげる」と言ったことが重要なのだ。告白せずにいかに好意を伝えるか!*1の実践。どうだろう。
鴻野くんはそれをどう取ったろうか。「ほんとに掃除がしたいんだな」*2「僕のこと好きなのかな」…どっちで取ってもらっても正しいので全然大丈夫ですね。

そうこうするうち、うっかり終電を逃してしまい、まだ演習のレジュメの出来ていない私は真剣に慌てるも、せめて勉強しておこう、とテンション上昇中の5人を残しロフトに上がって資料を眺めていた。
カップル二組の熱気にあてられたのか、鴻野くんが避難してくる。布団の上に寝っころがって、だけど触ったりもしないのに下の二組に負けず劣らず、相当に妙であった。
一時頃、男子3人を「アイス買ってこーーい!」と追い出して女子会議。「(いちゃいちゃしすぎて)申し訳ない」「いやむしろ、カップルじゃないのがいると気を遣いますよね?ごめんなさい」とお互いに謝る。

桐生先輩に私と鴻野くんのいまの状態について説明すると、
「外見が、っていうのはローラちゃんがどうとかじゃなくて、今まで21年大事に築き上げてきた理想像に反するってことでしょ、たんに」「ほう…」「てか鴻野くんはほんとに考えすぎだな。とりあえず動いてみりゃいーのに」
とりあえず動いてみる、というやり方は、半年前の桐生先輩だったらきっと言わなかったろう、と思った。現在の恋愛が桐生先輩に与えたものを垣間見た気がして、やっぱり少し寂しくなった。いやもう、桐生先輩と佐々木くんがどれだけ仲良しでも、平気なんだけども。うん。


結局始発で帰ってきて、いまレジュメを打っている。もう寝たい。きむち鍋うまかったなー。

*1:これを下の妹が「あいのり大作戦」と名付け、私に推奨している

*2:鴻野くんを意識しだす直前に、皆で鴻野くん家に行ったときも一度大掃除をしているし