映画『マラソン』

11日にひとりでレイトショー見に行った。韓国映画の『マラソン』です。
ラストの字幕で知ったけど実話を元にしたものらしい。ふーんそうか。まあ実話が元だろうが何だろうが作品は作品、フィクションはフィクションです。
自閉症の男の子とその母親を軸に物語は展開していく。主人公のチョウォンは19歳で、走ることとチョコパイとジャージャー麺とシマウマが好き。記憶力は抜群。母親は息子に付きっきりだ。自閉症の息子を育ててきた母親の苦悩は計り知れない。父親と弟、家族同士もちょっと離れ気味。

しかし問題解決がテーマではない。ただ、走る彼と、その周辺を、切り取ったのがこの映画だ。と思う。すごく好きです。
私は大袈裟なのとか、深刻な題材だからって深刻ぶってるのとか、解決されるために用意されたような問題がでん、とある映画は、好きじゃない。なんかそういう映画は多い気がする。無意味にひとが死ぬようなのも嫌だし、アクションシーンを作るためだけの派手なだけのアクションも見たくない。まあ面白ければ楽しめるしいいんだけど、あんまり大切な作品にはなり得ない。

少なくとも私たちの隣にあっておかしくない生活を扱うのなら、「本当の生活」を描かなきゃ全部嘘だ。映画やドラマだから、なんてのはスゲー嘘っぽい。しらじらしい。ずるい。見え透いてる。
私は何よりも、映画に「リアリティ」を求めているのかもしれないな。それをうまく描いている作品にはとにかくがーんときてしまう。そんなに出会ってないですけどね。あんまり映画観てないしなー…

そこで『マラソン』ですが、観に行って良かったです。チョウォンとコーチとの関わりではユーモアも入ってきて面白い。全体的に、余計なことは描かない。でも理解る。すごく感じる。よかった。
チョウォンがフルマラソンの最後で、色んなところを走り抜けていくとこなんか最高です。最後にはシマウマと一緒に走っててね。
でも分かんないとこがひとつあって、そのマラソンの時にチョウォンにチョコパイをくれたのは誰?!そしてそれを落としてそのまんま走っていくのはなぜ!?…わからない…。
あとコーチにペットボトルの水を渡す、あれは有り得るんでしょうか。ちょっと「ん?」と思いました。

私こういうのが本当好き、としみじみ再確認する機会になりました。地味といえば地味な。こういう作品を作ってくれる作り手がいることがとても嬉しいです。本作より好きなのが同じ韓国映画で『おばあちゃんの家』という作品なんですが、これもまた地味でねー。若い娘すらほとんど出てきません。『マラソン』もそうだけど。でもそれはたまたまなんだと思う。別に題材に惹かれてるわけじゃないし。作り方、見せ方が好きなのだ。

映画もっと観たいなあ。でも予想以上につまんないの多いんだもん…。何でこんなの作ったんだろ、とか。私何度ガッカリしたか分かんない。数を観てないのでエラそうなこと言えないんだけど。でもつまんないやつを思いっきり宣伝してたりとかさ…何でだろ。