触ってあげるスキンケア

ああニキビができちゃったなあ、というとき、原因はなんでしょう。
例えば栄養不足、あるいは栄養過多、睡眠不足、ストレス、合わない化粧品、毛穴の汚れ。便秘、内臓の疲れ。肌の乾燥、もしくは油分過多。こんなふうに考えられることはいろいろあるし、いくつかの複合であることも多いかと思います。これらは「からだからのメッセージ」がニキビとなって現れた結果だと思いますが、今回、その考え方に似ているようでちょっと違う見方を、私の実感に基づいて提示してみようと思います。
私は時にニキビ(吹き出物)とは、「からだからの存在アピール」ではないかと考えてます。構ってもらえないからだが、いじけて肌に炎症を起こしてみる、とか。そうするとそのからだの持ち主はそこに注目せざるを得なくなる。少なくとも異常が無いよりは。ニキビの目的はそれなのではないかと。肌が「放っとかないでよう、触ってよう」と言いながら炎症している気がする。ここで「触る」ということは、自分がどんなからだを以って存在しているのかということを、きちんと認識することと繋がります。
実際、寺門琢己先生が著書『かわいいからだ』で述べているように、ニキビなどで炎症している部分というのは肌が鈍くなっているのらしい。触ってもあんまり感じません。特に背中とか二の腕とか。これは自分の肉体的な輪郭が曖昧になっている証拠だと思います。
持ち主にきちんと把握してもらえないからだは、実感してもらえないからだは、苦しいものです。こころとからだがばらばら、なんていう状態は、死にたくなる理由として十二分と言えます。ほんと。実際、思春期にこういう現象が起こりやすいのは、よく言われるようにからだの成長にこころの成長がついていけず、顕著なズレが生じてしまうことがあるからで、そしてこの時期が、多くのひとのニキビ全盛期でもありますね(まあ思春期の場合ホルモンバランスの崩れというのが大きな原因だと思いますが。こじつけてみた)。
特に足指なんかは鈍くなりやすい部分で、さすがにニキビの出来る部位ではないけど水虫なんて強力な皮膚疾患の温床であるわけです。寺門先生の本のどっかに、鈍くなりやすい足指はよく角にぶつけたりするでしょう、とかなんとか書いてあった気がする。存在を痛みで思い出させようというわけですね。…からだってすごいなあ。確かに足指は脳みそから遠いもんな。一番必死さがうかがえます。
こんな構ってもらいたがりのからだには、持ち主である自分がちゃんと触ってあげることです。そう触るだけで。手のひらでていねいにていねいに、自分のかたち、皮膚感覚を確認するように、なでます。鈍くなっているところはもっとていねいに。私はお風呂で、湯船のなかとかからだ洗うときとかこういうふうに心がけています。私の、いちばん最初の持ち物、からだ。足のかたちから頭のかたちまで!面白いですよ。
肝心の顔は勿論、化粧水をつけてクリームをつけるまでの間、ずっとそんなふうに触ります。頬の丸み、鼻のかたち、おでこの曲線、毎日触っているはずである割に、意外と全く意識できてません。私は化粧水をつけるときコットンも使いますが、手のひらの鋭敏な感覚をスキンケアの指針にしたいので、手のひら重視です。なにより落ち着く(ちなみにスキンケアするときの手のひらは、温かくないと効果半減。大切なことなので要注意)。
肌が荒れたら、(化学物質が原因、とかいう場合以外は)原因が何であるにせよ、自分のからだへの扱いが雑だったんだ、と気付いてあげてください。
その余裕を作ること自体難しいことがあるかもしれませんが、そんなときこそていねいに肌に触ることで生まれてくる余裕がまた、あるはずです。
大切にされた肌はニキビが出来ないどころか、いや、出来ることがあっても(そりゃあるよ)、きっともっともっとすべらかに、輝いていきます。しあわせな肌が増えますようにと願いつつ、久々の美容部でした。ではまた。

参考文献↓

女子ひとりあたり一冊以上持ちましょう。と言いたい。からだとの対話が面白くなったのは二年半前に出会ったこの本のおかげです。ありがとう寺門先生!!